クレヨン、それからカレンダー

チラシの裏よりすこしひろい

生産性がなくて最高、へんな日記しかつけてない、人生初の文化圏ことファンミ

友人の誕生日を祝おうと遊びに行った。友人宅に2泊してどこにも行かずダラダラと喋ったり買ってきた冷凍ピザやケーキを食べたり、イラストを描いてもらって(友人は絵がうまい)褒めたたえたり、イラストを描いたり(私は下手だが友人は味があるといって描くと喜ぶ)した。生産性はなにもなく最高だった。予定があったり行きたいところがあったりしてだらだらするのはどうも気が急いて好かないが、「今日はだらだらしよう」と決めてなにもしないのは楽しい。元来怠惰な人間である。外になど出掛けたくない。舞台や美術や史跡がはやくVRで現実と変わらぬ精度で見られるようになればいいと思う。混んでるところ行きたくないし、そういうのを抜きにしたって、フランソワ・ポンポンの「シロクマ」とかなでまわしてみたいしな。

 

諸事情あって行けなくなったチケットを手放したのだが、どうしても観たい作品なので別日を取り直した。強行スケジュールを詰めてしまった。12月は暇なので身体を労わって家にいたい…。忙しく外に出るのは苦手な方だ。

もとのチケットは普段観劇に行かない友人に譲った。さして良席ではなく、しかもまだ公式でチケットが買える作品を譲渡成立させられる気がしなかったので、「タダでいいから貰わない?」と持ちかけたのだった。「暇だし観劇興味なくもないから貰うのはいいけど予習とかなくて平気?」ときかれたので「私もなにも知らずに取ったからわからんが平気だ」と答えた。「金のかかる趣味なのに雑だな」と言われてそうだね…と思ったが、推しがでていない作品はだいたいあらすじを見て「よさそう〜」程度のノリで取るので、知らない役者や知らない原作のものが多い。予習もたいていしていかない(原作やパンフレットなどを読むとなんとなく思い込みができて、あら?となったりするので、最近は本当に予習しなくなった)。それでも、というか、そのほうが楽しく観られる。だからおまえも目の前にある物語を楽しめ、背中は背もたれにつけとけ、携帯はしっかり切っとけ、あとはおまえの常識レベルなら大丈夫だ、と言った。チケット代を断ったら「とりあえずこれを」と手作りのシトロネット(でいいのだろうか、蜜漬けして乾燥させた輪切りのレモンにチョコレートがかかっているやつ)をくれた。私が前に貰った際大変喜んだからか、たまに作ってくれる。食べるとレモンのいい匂いがする。店で売っているやつよりも友人が作ったもののほうが口に合う。

 

仕事の後に待ち合わせてチケットを渡し、食事をしてだらだら喋った。ブログを始めたのだよというと「鬱々としたやつ?」というので、「公園で本読んだとか美術館行ったとかのマジの日記を書いてる」と答えたら「なんで?」ときかれた。マジの日記が書きたかったからだよ。毎日本を読み終わるほど勤勉でもなく、毎週末劇場に行くほど熱心でもないので、なにか見たときだけ書こうと思うと忘れてしまってなにも書かなくなるだろうから、益体もない日記を書くことにしたのだった。でもスペースが広いのでついついあれこれ書きたくなってしまう。

ゴドーを待ちながら」の、時間の感覚がなく昨日と今日の区別がつかないウラジミールとエストラゴンの姿が、日々をぼんやりと消費して過ごす自分のように思われたのだった。それに抗うために日記をつけたり、すこし長い文章としてブログを書いたりしようと思ったのだ。書いたところで思い出せない日々も多い。それでも書かないよりはだいぶマシだ。

というのは嘘の時系列で、実際に日記をつけ始めたのは「ゴドーを待ちながら」の観劇より前(鍵垢で記録をつけ始めたのは昨年10月、ブログを始めたのは今年4月)なのだった。しかし具体的に言葉にならなかったものが言語化されるきっかけはゴドーである。

書いた日記を読み返すとへんなことがメモしてあることもままある。「全身白い服に総白髪の老夫婦が立っていて道端がテクノ系のアルバムジャケットみたいになっていた」とか「電車内でこどもが口頭でポケモンバトルをしているが、互いに『カメックス、いっけー!』などとポケモンを繰り出すだけで技を指示しないので、いま10体のカメックスと3体のミュウツーが何もせずこの狭い車内にたたずんでいることになっている」とか。どんな日だったか思い出すよすがにはならないが、まあまあ面白い。どうやらその日は生きていたらしいな、ということもわかる。

 

で、去る11/24、諸事情こと「なるほどお歌が聞けるのか…」というノリで申し込んでしまった遠山祐介さんのファンミに行ったのだった。そういう文化圏に馴染みがなく、「ファンミ マナー」で検索してもめぼしい情報が得られなかったので、もしかしてめちゃくちゃ軽率だったのではと震えながら行ったが、同席の方々がとてもやさしく親切で、新参以下の人間にもいろいろ教えてくださったので楽しかった。遠山さんお歌がうまかったです。ゲストの石川新太さんもお歌がうまかった…。

聞いた話とか曲目とかをどこまでレポにしていいのかよくわからない(特別これはオフレコというような断りはなかったが一般的な感覚がわからない)ので、「お歌がうまかったです」以外に書いていいことが思いつかないのだが、LLLの思い出話は舞台稽古の裏話が色々聴けて面白かったし、来年のアナスタシアのグレブ役を受けた際の話は新参以下の身で聞いてもグッときたので長年のファンの方々にとってはなんかもう、こう、たまらんのだろうな……と思った。

あと写真撮影タイムにコスタードのポーズで写真撮ってもらったので、コスタード激推しオタクとしてはたいへんにこにこした。顔が良い人類と並んで写真撮っていい生き物ではないのだがな我は…と思いつつもいやコスタードの写真欲しいな!?という気持ちには抗えなかった。いやまあコスタードではなく遠山祐介さんなのですが。

遠山さんはめちゃくちゃサービス精神溢れててビビったし、それに対して全力で楽しんでいるファンの方々を見るのはとても楽しかった。私はひととひととの間に愛を見るのが好きなんだ…。

 

取り直した舞台が思ったより刺さらなくてすこしへこん…となったが「ファンミ行かないで予定通り舞台見てたら劇場で『何故…?』みたいな顔をしていたのでは?ファンミ行ってよかった〜!」と思うことで事なきを得た。得たのかな。

細かい場面は結構好きだったが、クリティカルに刺さるだろうなと思っていたので拍子抜けした。全体としてこの題材に対して私はどうも求めすぎる部分があったなと反省した。その件については後日。